身動きが取れないほどにギチギチで凄まじい熱気のライブハウスの中、再現される『Termination』という若き衝動とエネルギーに満ち溢れたアルバムの楽曲たちを目の前に幾度となく"あの頃"の光景がフラッシュバックし、何度も意識が遠くなりそうになったのはきっと会場の熱気に当てられたせいだけではなかったと思います。
開幕から『Termination』の再現で入らずに序盤で直近の楽曲たちから徐々に『Termination』の時代に遡っていくかのようなセトリ構成で披露され(卓郎が「あの激しいアルバムを再現するのには準備運動がいるからね……だってもう"暴動"でしょ?」と言っていたのがマジで良かった、そのアルバム作ったの若い頃のお前らやぞ)、最新の9mmを踏まえた上で徐々に時代を下りつつ今の9mmが表現する『Termination』の対比という感じで観れたのが良かったです。
この中で『ガラスの街のアリス』が演奏されたことが特に印象に残っていて、BABELというアルバムの中でも特に『ガラスの街のアリス』の歌詞からは『Termination』の世界観全体に漂うディストピア感に近いものが感じられる気がすると常々思っていたこともあり、『Termination』再現ライブのあの日に演奏されたことには意義があったようにも思え、本当に嬉しかった瞬間でした。
何なら俺は『ガラスの街のアリス』のイントロが鳴った瞬間この日一番デカい声を出しました。
そして、『Termination』再現パートが始まると『Psychopolis』で1サビに入る前早々に最前列の柵がぶっ壊れて一時中断となったのがこの日の激しさを物語っていたり、『Termination』のサビでいつも通りに合唱したとき感極まりすぎて嗚咽みたいな声しか出なくて自分で自分に驚いたり、これまで何度もライブのラストを飾るのを見てきたはずの『Punishment』もこのアルバムの流れで演奏されるとまた違った印象に聴こえるように思えて、音の激流とフロアの熱狂に飲まれる中でこのアルバムの世界の終演の姿を見てるかのように感じられたのが非常に印象に残ったりと、あまりに凄まじすぎる再現ライブでした。
『Termination』というアルバムが世に出た当時よりも、菅原卓郎というボーカリストの表現力という点で明らかにレベルアップしてたのが印象的で、あの頃よりも歌詞の中のワード一つ一つのニュアンスをより大切に歌っているように感じられ、このアルバムのディストピアな世界観がより深みと説得力を増して再現されているように思えて、それだけでも今の9mmがこのアルバムの再現ライブをやることには大きな意義のあるものだったのではないかと思います。
アンコールでは無礼講と言わんばかりの異常なまでのテンションで『(teenage)disaster』が演奏され、続けて『Talking Machine』の前奏では第三の男(エビスビールのCMのあの曲)を演奏しつつメンバー全員でエビスビールで乾杯しそのままラストの演奏に突入し、俺はと言うと近くに居た知らない外人の兄ちゃんと肩組んでクソ高まれてマジで最高でした。
そして、本編終了後に和彦が投げたピックが頭に当たり、足元に落ちたのを幸運にも拾うことができたことがこの日何物にも代えがたい思い出となりました。
(長年9mmのライブを観てきたわりにピックを拾えたのはこれが初めてでした)
19周年のツアーのファイナルというこの素晴らしき日に最高のライブを観てピックまで拾えて、2023年12月19日という日が俺の人生の終着点(Terminationだけに)のようにすら思える、最高の1日でした。
ありがとう恵比寿LIQUIDROOM
ありがとう9mm Parabellum Bullet
19周年ツアー完走おめでとうございます。
結成20周年となる2024年のご活躍、心よりご期待申し上げます。
セトリ
- Brand New Day
- One More Time
- All We Need Is Summer Day
- 泡沫
- 白夜の日々
- 名もなきヒーロー
- ガラスの街のアリス
- カモメ
- The Revolutionary(Acoustic Arrange)
- Psychopolis
- Discommunication
- Heat-Island
- Sleepwalk
- 砂の惑星
- Heart-Shaped Gear
- Sundome
- Battle March
- Butterfly Effect
- Termination
- The World
- Punishment
[EN]
- (teenage)Disaster
- Talking Machine