アルバム1周通して聴いて、2周目を聴きつつこのアルバムのファーストインプレッションについて書き留めておく。
楽曲の内容に言及しまくっているので、その辺はご容赦ください。
- M-1 Hourglass
- M-2 One More Time
- M-3 All We Need Is Summer Day
- M-4 白夜の日々
- M-5 淡雪
- M-6 Tear
- M-7 タイトロープ
- M-8 Spirit Explosion
- M-9 泡沫
- M-10 煙の街
- 総評
M-1 Hourglass
不穏なイントロで幕を開け、重厚でドラマチックな展開が怒涛の如く押し寄せるハイテンポナンバー。
これ『BABEL』に入っててもおかしくないんじゃないか?ってぐらいの重厚さ。
これが開幕一曲目!?という衝撃をじっくりと咀嚼する隙も与えないほどの怒涛の爆速展開で駆け抜けて気づいたら一曲終わってしまっていた。
サビの「いつまでも いつまでも 凍えているよ」というフレーズ、前作『DEEP BLUE』の『いつまでも』の中にも「いつまでも いつまでも」ってフレーズが出てきていたけど、これとは全然真逆の文脈で使われていて震えが止まらんかった。
爆走、8分の6拍子、哀愁メロ、生と死を感じさせる歌詞、間奏の高速ギターソロ、アウトロの和彦の絶叫と、9mm Parabellum Bulletの"全て"が詰まっているみたいな楽曲。
ラスサビでほんのり転調するとこでほぼイキかけた。
はっきり言って後続の曲の印象が薄れてしまうぐらい衝撃的な幕開けだった。
全然そういう感じの曲ではないと思うんだけど、開幕から衝撃が凄まじすぎて初っぱなから涙を流してしまった(そんなに)
M-2 One More Time
先行配信やライブで既にかなり聴き込んでいた楽曲。
前の曲からの落差が激しすぎて、最初全然違うアルバムが始まったのかと思った。
かと言って、全体的に暗い雰囲気の漂う本作の中でも浮いてるわけではなくて、軽快でありながらも不思議とアルバム全体の中では調和が取れた絶妙な塩梅になっているのが上手い。
M-3 All We Need Is Summer Day
前作『DEEP BLUE』の『夏が続くから』では過ぎ去る夏を惜しむかのような光景が描かれたのとは対照的に、これから始まる真夏の日々を全身で楽しむかのような楽曲。
真夏の爽やかさの中にも、底抜けに明るいばかりじゃないどこか哀愁が漂う不思議な雰囲気の楽曲。
夏フェスで真夏を全身に感じながらこの曲を聴きたい(※筆者は今年のRIJFに行ってません)
M-4 白夜の日々
2020年リリースのシングル曲。
既にたくさん聴いてきた曲ではあるけど、本作の中で聴くと思いのほか前向きな歌詞に聴こえて、これ以降の暗めな展開が続く前の希望の光のようにも見える位置づけになってるように思える。
M-5 淡雪
アルバムリリースに先駆けてライブで披露された曲の中では最も楽しみにしていた楽曲。
雪国出身の菅原卓郎特有の、雪をただただ美しいものとしてではなく別れや痛みの象徴として描いた歌詞の楽曲が本当に好きすぎる。
サビの「さよなら~」というフレーズがあまりに美しすぎる。
M-6 Tear
タイトルからしっとりめのバラードが来るのかという予想に反して重厚なギターリフで始まり意表を突かれた。
重厚さの中にも哀愁があり、2分足らずと短い曲の中に印象的なサビやギターリフにタッピングなどの要素が詰め込まれた9mm欲張りセットみたいな楽曲。
M-7 タイトロープ
アルバム表題曲とも言える楽曲。
このアルバムのコア的な位置づけになる曲なのだろうとは思いながらも、正直この曲に関してはまだ自分の中で上手く咀嚼できていなくて、どう評価していいものか考えあぐねている。
何周か聴いたりライブで観たりしていく中で上手く飲み込めたらいいなと思っている。
印象的なベースのリフとラスサビで疾走かかるところが好き。
M-8 Spirit Explosion
洋楽メタルバンドのアルバム1曲目に入ってるみたいなメタルインスト的楽曲。
先行配信で既に聴き込んだ曲ではあるけど、アルバムの流れでこの位置で聴くとだいぶ印象変わる曲だなと思った。
インスト曲をアルバム終盤の8曲目に据えて来ていたり、インスト曲にして『Tear』よりも演奏時間が長いのが面白い。
昨今ギターソロを飛ばして聴く人も多いと言われる中で、真摯にギターという楽器の魅力をインストで表現する姿勢が本当にかっこいいよ、9mm Parabellum Bulletは。
M-9 泡沫
昨年リリースの配信シングル曲。
単体で聴いたときは重く暗い楽曲だと思ったけど、このアルバム全体の中で聴くとむしろ自然な暗さにさえ思えてくる。
この後に続く『煙の街』の前に、最後に一縷の光が差すかのような位置づけに置かれており、既存曲の中では単体で聴いたときとの印象が一番変わった楽曲かも知れない。
M-10 煙の街
9mmのアルバムは毎作最後の曲に定評があるので、今作もどんなラストシーンが描かれるのか楽しみにしていたのですが、いや……この曲は……
全てが崩壊した世界の、荒廃し焼け野原と化し、"煙"の立ち込める街の中で絶望とともに立ち尽くしてるかのような壮絶なエンディングを迎える楽曲。
『煙の街』って一体何を表しているんだろう……と身構えつつ聴いたのですが……いや……そういうことかよ……菅原卓郎……俺の負けでいいよ……
『BABEL』の最後の楽曲『それから』でさえ絶望の中に一縷の光が見える終わり方だったのに、こんな絶望のみの終わり方のアルバム、9mmで初めてなんじゃないか……?
俺、この9mm Parabellum Bulletってバンドのことが怖くて仕方ねぇよ……
総評
非常に重く、濃密で、刹那の如く駆け抜けるかのような34分53秒。
9mm渾身の一作とも言える『BABEL』と比肩するぐらいの、重厚でドラマチックな展開の連続の衝撃的なアルバムだった。
バンドキャリア18年目にして初期衝動の熱量が全く衰えていなくて、それでいて積み重ねてきた18年間の貫禄も感じさせる作品。
まだまだこんなアルバムを生み出せるなんて凄すぎるよ、9mm Parabellum Bullet
『BABEL』ほどコンセプト性の強いアルバムではないにせよ、この曲順で再現ライブを観てみたいとも思える内容だった。
9月から始まるアルバムリリースツアーの中で、このアルバムの楽曲たちがどんな姿で披露されるのかが楽しみで仕方がない。
以上。